「のび太くん」はなぜテストで0点なのか?実生活に当てはまる改善ヒントもいっぱい
名作「ドラえもん」から考える「勉強ができない」の改善ポイント
■藤原さんの育児学Vol.88■
みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。
今回は新生活準備の息抜きがてら、「ドラえもん」に出てくる「のび太くん」について、育児アドバイザーの視点から話していこうと思います。
最近、娘がドラえもんを見始めたので、ついつい懐かしくて私も一緒に見てしまいます。
アニメにも難易度があり、輪郭線がハッキリしていて○△□のシンプルな絵の「アンパンマン」や「きかんしゃトーマス」に始まり、「すみっコぐらし」や「ミニオンズ」などのキャラクター、その後にストーリーも少し理解できる「おしり探偵」やディズニー、ジブリアニメなどに発展。そして、よりストーリーを楽しめる「ドラえもん」に発展していきます。
ちなみに、この頃になると、挿絵の入った物語を読めるようになり、その後に台詞で話が進むマンガへと進んでいきます。
今どんなものを見ているか、興味を示しているか?を知る事で、発達の現在地が分かるんですね。
ドラえもんを楽しむ娘は、アニメを見ながら「そんなワケない!」、「これはおかしい」などとツッコミを入れていて、親としてはそれもおもしろく、また内容をちゃんと理解していることにも驚きます。
娘は小学校1年生ですが、小5設定ののび太くんには、もう少ししっかりとしてもらいたいですね(笑)。
のび太くんの「テストの成績が悪い要因」は実生活に当てはまる?
のび太くんと言えば、テストの成績が悪いことで有名。
毎回のように0点、30点取れたら大喜びするくらいで、時にはドラえもんの道具によって100点を取ることも。
ジャイアンも0点をとっていたり、出木杉くんやしずかちゃんは成績が良かったりと、キャラクターの個性があります。
マンガが描かれた昭和の時代、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」よりも少し後の時代設定、小学校に通う子ども達を見事に描写していたのだと思います。
土管の置かれた広場で遊んだり、商店を営むジャイアンが店のお手伝いをしていたり。今の日本では見かけない世界ですよね。
のび太くんの一日を見ると、テストの成績が悪い要因がたくさん見つかります。
勉強が嫌いになっている
のび太くんは、徹底的に勉強が嫌い。授業中も寝てしまったり、廊下に立たされてしまったり、宿題では毎回苦労しています。
宿題をひとりでしている
近年、小学校から生徒は宿題の答えも持ち帰り、○付けを保護者に依頼するようになってきました。
のび太くんのママは、専業主婦で家にいますが、のび太くんと一緒に宿題に取り組んだり、勉強を教えたりといったシーンはありません。
昭和の時代、勉強は学校任せで、親が子どもの勉強を見ることは少なかったのかもしれませんね。
勉強や宿題ができないと叱られる
宿題ができていないまま学校へ行くと、先生に叱られて廊下に立たされる。よくあるシーンです。
しかし、宿題ができていないのは何かのSOSが子どもから発せられていると捉えなければいけません。
たくさん叱られても勉強が分かるワケもなく、授業を聞かずに廊下に立たされていては、その日の宿題も分かるはずがありません。
まさに悪循環!勉強が分からない子を叱るのは、絶対にやってはいけない行動です。
先生もママも、宿題や勉強をしろと怒るばかりで、どこが分からないのか探ろうとしないままなので、のび太くんは大変です。
昼寝が趣味
のび太くんは、昼寝が趣味で3秒で寝られると豪語しています。
寝ているから勉強ができないのではなく、寝る必要があるのに充分に睡眠が取れていない事が問題かも。「睡眠」は脳の疲れを癒やしたり、一日の出来事を整理したりするために行われます。
分からないなりに一生懸命に授業で学び、脳が休みたがってると私は感じました。
我が家では、基本的に寝たい時に寝て、起きたい時に起きるスタイルを推奨しています。
もちろん、翌日が早いとか、単に寝ているだけなのは生活リズムも崩れますし、限度はあります。ですが、子どもが学校から帰って眠るのは、脳を休ませ成長に繋がる行動でもあります。
よく、政治家が寝ているのはダメだと言われますが、しっかり働いた脳は強制的にスリープモードに入る事があります。
ここに病が潜んでいる場合もあり、一概には言えませんが、なまけて寝ている人もいれば、ものスゴく頑張ったがために寝る場合もあることを忘れてはいけません。
頑張った脳を起こせば、勉強はよりできなくなってしまいます。
趣味がない
「趣味が昼寝」は、逆に言えば没頭できる趣味がない事を表しています。
のび太くんは、多くの冒険をするように、実際は向学心というか世の中の様々な事に興味津々で、正義感も強く、ちゃんと教育してくれる人に出会えば、どんどん成長できる人材だと思います。
しかし、趣味のひとつもないのび太くんは、憧れの大人もいない、コレクションしていくような世界もない、技術を磨く先もないのです。
部屋に憧れの人や物のポスターを飾っていたり、スネ夫のように頑張ったご褒美で物をもらえると、子どもは頑張る気力に繋がります。ですが、ゴルフをかじる程度のパパもママも、趣味が勉強のやる気に繋がるという視点はないようです。
欲深い
のび太くんは、スネ夫が持っている物を欲しがって争ったり、しずかちゃんのお風呂を覗いたりと、欲望のままに行動する場面があります。
他人に勝った負けたといったマウントの取り合い、相手の気持ちよりも自分の欲を優先した行動は、内面的な成長には繋がりません。
のび太くん的欲望の行動は、今の社会にそのまま当てはまります。イヤな事はしない、人に勝っていれば満足では、自立した人間にはなれません。
まずは、0点の自分と向き合う事。将来、しずかちゃんと結婚している未来を知っているのび太くんには難しいかもしれませんが・・・。
人間関係が狭い
登場人物が少ないのは、マンガの対象年齢の子ども達が覚えやすい目的もあったかもしれません。が、カースト制のようにのび太くんはポジションを決められた社会で生きています。
登場人物の全員がのび太くんは勉強ができないと分かっている、決めつけている社会の中で、そこから脱する事は至難の業。
周りの人間が、のび太くんが0点であって欲しいという気持ちを、心のどこかに持っているために、本人の努力だけではどうすることもできないコミュニティが形成されてます。
日本の法律の問題
当コラムでも、何度かふれていますが、日本は小学生に留年の概念はなく、学校にさえ通っていれば進級し卒業できます。
私の経験則から見ると、のび太くんはきっと小学校2年生のかけ算くらいでつまずいたのではないかと。そうでなければフィクションとはいえ、さすがに0点を取るのは難しいですよね。
ほかにも、「塾や習い事に行っていない」、「家の家計に余裕がない」、「ドラえもんが甘やかしている」など、今の社会と比べたら違いはたくさん出てくるとは思いますが、マンガが描かれた当時は、のび太くんのような子どもは社会に多く存在していたと推測されます。
きっと藤子不二雄先生は、そんな子ども達へ、励ましのメッセージも含め、のび太くんを描写していたのでは?と。
子どもに寄り添う姿勢が、マンガの随所に感じられ、目先の辛さに対して、未来を夢見ることで頑張ろう!と、声援のような作品と感じます。
その後に、両親共働き世帯が増え、子ども達への早期教育が流行。テレビがひとり一台から、スマホ・タブレット時代へと変わってくると、クレヨンしんちゃんのようなませた子どもが出てきます(笑)。
私は、どちらのアニメも好きですが、幼稚園児のしんちゃんはドラえもんの世界には出てこない、時代背景の違う現代っ子に映ります。
先日、松本零士先生が他界され、またひとり私の人生を豊かにしてくださった漫画家との別れがきました。
幼少期からたくさんのマンガやアニメを見て育ち、マンガ作家の先生達からいただいた、あの当時のワクワク感に今も感謝の気持ちでいっぱいです。
アニメやマンガの作家さんが社会を変えた偉人として、ノーベル賞を受賞する日がきませんかね?
21世紀を生きる私は、ドラえもんの誕生する22世紀は見られないかもしれませんが、せめて想像しながら生きていきたいと思います。
子ども達の未来を作るのは、想像力のある大人に担って欲しいですからね!
みなさん、新年度準備で慌ただしい日々をお過ごしと思います。
私も今年は、3年ほど前からプロデュースを担当していた、古民家改装育児支援施設がオープンを迎えるのでバタバタ。
この取り組みは「コーセリプロジェクト」と題し、育児をする親向けの学習支援施設となります。
近年、子ども食堂やフリースクール、産後ケアや保育所整備など、第三の居場所作りや、親の負担を減らすための取り組みは国が率先して行ってきています。
しかし、残念ながら流行すると、補助金目的にコンサルタントなどが誕生し、ビジネス展開の様相を示して、すでに子どもの取り合いや事業撤退も。
バブル崩壊、リーマンショック、社会が不景気になると不景気に強いと言われる教育ビジネス参入が増え、その度に日本の教育機関は競争社会に巻き込まれてきました。
今まさに、産後から未就学児世代が、ビジネスのターゲットになり、私は危険を感じています。
競争社会に巻き込まれると、心にも時間にも余裕がなくなってきます。
“心と時間の余裕”。育児に関わる人達へ必要な「余裕」を生むために、コーセリプロジェクトでは、育児のコツを学ぶセミナーを開催したり、子どもと参加できるイベントを企画したりして、古民家で過ごすゆったりとした時間を提供していきたいと思っています。
イベント情報などは、インスタなどからチェックしてくださいね!
鳥取・島根のお仕事情報
この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
【レインディア藤原さんの過去記事一覧はこちら】
コーセリプロジェクトHP