卒園や入学・入園で訪れる子どもへの感情の波。気を付けたいポイントは?【藤原さんの育児学Vol.65】
様々な感情が入り混じる春。これまで以上に子どもたちの言動、心の変化に気を付けましょう
みなさんこんにちは。今年も春がやってきました。
卒業式や入学式。コロナ禍でギリギリまでどうなるか、まだ不安がありますが、子どもたちの記念になる行事、現場の先生方が準備を頑張ってくれていると思います。
一般的にはおめでたい、華やかな季節かもしれませんが、私個人、実は入学式や卒業式が苦手。そもそも、興味のない人たちとクラスをともにしなければならないとか、新しい担任を選べないとか。本当にストレスでした。
「北欧の学校では先生を選べる」と聞いた時は、とても羨ましかったです。
しかし、大人になった今、先生たちも新年度ストレスを持っていることを知り、進化のない日本の制度には改めてガッカリする季節が、春です。
ちょっと手厳しいコラムの始まりとなりましたが、現代の子どもたちも変わらずストレスを感じているであろう今。今回は、子どもたちと春の過ごし方についてコラムを進めて行こうと思います。
3月は卒園式や卒業式シーズン。幼稚園や保育園の卒園は、人生最初のお別れイベントかもしれません。
大人目線で言えば、子どもが通っていた園が、いい園かどうかを見極める場にもなるのかも。息子の卒園式に参加した時、先生たちが大泣きで、私は感動と言うよりももらい泣きで涙が出たものです。
息子も先生たちや園が大好きでしたし、第二の家族といった空気感があったので、心底いい園に通っていたんだな〜と。
しかし、良い園があれば残念な園もあり、淡々と事務的に卒園式が終わったという話も聞きます。これは、保護者側ではどうすることもできない事なので、運もあるかもしれませんが、行政にはちゃんとチェックし評価して欲しいポイントです。
6才は「感動」を体験できる段階。「感動」は学習面や成功体験にもつながる重要な感情
人生最初のイベントを6才で迎えるワケですが、子どもの発達から見ても大切な段階。
卒園式で大人たちが感動していたように、子どもたちも「感動」を体験できる段階に入っています。
それまでの子どもたちは、ポジティブな感情では「うれしい」や「楽しい」、「おもしろい」といった気持ちを理解していました。それが、6才頃になるとより複雑な感情の「感動」を受ける事が始まります。
運動会の団体演技が成功したり、一面キレイなお花畑を見たりして、感動するようになります。この「感動」は成功体験になり、生きている楽しみにも繋がるので、私がもっとも大切にしている感情のひとつ。
「感動」は学習面でもとても効果を発揮します。
文字が読める感動、算数の仕組みを分かった時の感動、できない事が練習してできるようになった時の感動。それらはすべて、次の向上心に繋がります。
イヤイヤ勉強させられていたり、頑張っても何もないと“やる気”を失ってしまいますよね。どうしたら人が感動するのかを知っている人は、子どもたちにも効果的にいろいろな事を教えられるんです。
とはいえ、忘れてはいけないのは、非日常的な「感動」体験をすると、大きく疲れること。
卒園式・卒業式、または受験で合格して感動した後には反動でドッと疲れが出ますよね。これから春休みに入るからと、たくさんの予定を入れる、新年度準備の買い物で子どもたちを連れ回していてはいけません。
ちゃんと「休む」計画を立ててあげましょう。
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期待と不安入り混じる新天地。不安なのは子どもたちも一緒
春は引っ越しシーズンでもありますね。新しい街の知らない環境に行く事には、大人も不安になります。
当店のお客様からも「子どもが馴染めるか心配」との声を聞きますが、子どもは意外に適応が早く、大人が心配するほどではないようです。ただ、大人の不安を子どもが感じて表す事があります。
「子どもが頑張っているから、ママも頑張らなきゃ」とは考えずに、休みを入れたり、5月の連休の予定を計画したりして、無理しないようにしましょう。
新年度が始まると、入園式や入学式があり、新生活が始まります。
最初は大泣きして、登園するのを嫌がるお子さんも多い事でしょう。親として心苦しい時間ですが、多くの場合1ヶ月もしないうちに慣れます。
逆に、5月の連休以降も泣いて登園する事を嫌がる場合、それは親と離れることで泣いているのではなく、園に苦手な先生がいたり、嫌な経験をして泣いていたりする場合が多くあるので注意が必要。
園を変えることは簡単ではありませんが、新生活が始まって2ヶ月も泣き続けていると脳への影響も心配になります。
このような場合、大変ですが真剣に転園をオススメします。今行っている園に対応を変えさせようとしても、子どもの気持ちは変わらないので、嫌がる園には向かわせないようにしてあげたいところです。
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新年度が始まると、不登校の相談も毎年入ってきます。元々あったストレスに、年度替わりのストレスが加わって、心がいっぱいいっぱいになってしまう子もいます。
最初が大切だからと、子どもたちに無理させないであげましょう。不登校の相談を受けて感じる事は、子どもたちはちゃんとSOSを出していたという点。春は特に、さ細なひと言に気持ちを込めている事があるので、子どもの言葉にちゃんと耳を傾けて、聞いたらしっかりと行動で示してあげましょう。
今年は昨年と比べて、育児相談や不登校、引きこもり相談が増えています。コロナ禍で、行政や園、学校などに相談できずにおられる方が多いのかもしれません。
もし、どう対応して良いか分からないのであれば、いち日でも早く相談をいただければと思います。
では、新年度もよろしくお願いいたします。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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