赤ちゃんの歩きはじめはいつ?無理に歩かせると姿勢や発育にも影響が!?【藤原さんの育児学Vol.64】
気になる赤ちゃんの「初めて歩き」と「姿勢」
みなさんこんにちは。日差しが春めいてきて、新年度準備が始まっていますね。
公園など外の散歩も楽しめる時期。街ナカでも小さなお子さん連れの家族を目にするようになりました。よちよち歩きのお子さんを見かけると、懐かしく幸せな気持ちになります。
そこで、今回の育児コラムは、「赤ちゃんの歩き」と「姿勢」について書いていこうと思います。
「歩き始め」時期は人それぞれ。無理に歩かせようとすると体に悪影響の可能性も
みなさんは、自分が生後何ヶ月から歩き出したか覚えていますか?
犬や馬など、動物は生まれて数時間〜数週間のうちに歩き始めます。一方、人間の子どもは、1才過ぎに歩き始める場合がほとんどですが、個人差がもの凄くあります。
弊社のお客様で、一番早く歩き始めたお子さんは何と生後6ヶ月!
九州の方でしたが、成長が早すぎてお母さんが心配になり、大学病院で検査されたくらいです。そして、マイペースなお子さんでは2才過ぎになってから歩くお子さんもおられます。
親としては、早く歩いて欲しいのかもしれませんが、その思いが成長に悪影響を与えている家庭もとても多く見受けられます。
例えば、赤ちゃんの身体を親が支えて、立たせようとするケース。これをすると、足を突っ張るので、赤ちゃんが立ちたがっていると都合良く解釈し、何度も立たせようとします。
足の突っ張りは赤ちゃんの筋肉の反射運動であり、決して赤ちゃん自身が立ちたいワケではありません。喜んだとしても、立てて喜んでいるのではなく、脳から遠い足裏に刺激が入ってきて喜んでいるに過ぎません。
世間では、歩行器や手押し車といった、立って歩く事を補助する製品が販売されていますが、これにも私は否定的です。
手押し車に関しては、ひとりで歩けるようになってからはオススメですが・・・。なぜダメなのか、それは赤ちゃんの骨の成長や姿勢に影響するからです。
赤ちゃんは骨のピースが300程度で生まれてきますが、大人は206個になっています。
すなわち、出産時には小さく出て、成長過程で繋がっていくんですが、寝て生活している段階から成長し、歩くようになると骨と骨の関節に重力がかかっていきます。
赤ちゃんの骨は柔らかく、成長段階を飛ばして早く歩かせようとすると、骨が正常な形に育たなくなります。
私が相談を受けた中には、1才で内股過ぎる女の子、O脚、前傾姿勢、シャフリングベビーと呼ばれるお尻で移動するお子さんがおられましたが、家庭での話を伺うと、何らかの原因と思われる行動や環境がありました。
こうなってからでは、お医者さんのところで治療になるので、早く歩かせようとする行動は本当に止めて欲しいと思っています。
赤ちゃんの骨の形成は抱っこの段階から
では、どのようなステップで「歩き」へ向けて進めればいいのか。
近年、抱っこの段階からすでに骨の形成は始まっていると考えられるようになり、抱っこ紐などが発展してきています。
ほんの10年位前までの抱っこ紐は、赤ちゃんの足がだら〜んと下になっていましたが、最近の製品はお尻全体をサポートして支え、赤ちゃんの足が前に(大人の腰から背中方向へ)向かうように設計。
抱っこしている状態でも、立ち姿ではなく、お座りの姿勢をキープするようになっているんですね。
抱っこ紐に限らず、赤ちゃんのために良いと思っている旧来の品にはほかにも気になる物が。
昔から育児に取り組んでおられる方々の中には、布オムツが赤ちゃんには良いと思い込んでいる方が結構おられます。
しかし、私のもとにO脚の相談に来られた方は、その全てが布オムツを使われていた事から、私個人の意見として、旧来の布オムツも骨格形成には悪影響があるのではと感じています。
姿勢のお手本は「キユーピー人形」!? 重心の位置にも気を付けよう
一方、日本人の多くの方が知っているであろう良い見本もあります。
それはキユーピー人形さん。ぽっこりお腹で頭が大きく、背中には天使の羽根が生えていますが、これが赤ちゃんの理想的な立ち姿のようです。
赤ちゃんは、たっち・伝い歩き段階では、つま先立ちになって移動したり、周りを見渡したりします。しかし、歩く段階になると、理想的な重心の位置はつま先や親指の付け根ではなく、かかとにしっかりと体重をのせて立つ事が大事になります。
すると、姿勢は少しがに股な感じで、視線は前、キユーピー人形のように手でバランスを取るような形ができあがります。この段階で、前屈みにならないよう注意して、一歩一歩歩くのが良いですね。
私の講演会などで、話が終わった後によくお母さん方から、「見ておられて気付いたと思いますが、うちの子じっとしていなくて。」と相談を受けます。
歩きはじめのお子さんで、じっとしていられないのは、身体のパーツの中でもっとも重たい頭部の位置がチェックポイント。子どもの視線を見ると、じっとしていない子は、斜め下の方向を見ている事が多く、じっとしていられる子は真正面を見ています。
斜め前の下を見るのは、頭部の重心がかかとの上ではなく、親指の付け根辺りになっている事が原因と見られ、私のアドバイスは子どもの姿勢を正す事。
大人も同じですが、猫背やストレートネックでは、自律神経を圧迫し身体のコントロールに影響が出ます。歩きはじめの子どもは、言葉で伝えることができませんし、背骨を矯正するような必要はありません。
どうするかと言うと、椅子の上や子ども目線のテーブルなどを使って、立った状態で前を向いておもちゃで遊べるようにしてあげましょう。地面に置いてあるおもちゃで遊ぶと、どうしても前屈みになってしまうので、前を向く事が大切です。
お散歩や、車での移動の時なども、子どもはいろいろなところを見たがるので、病院の待合などでスマホなどで静かにさせる時も、できるだけ視線の向きには気をつけてあげましょう。
歩きはじめはバランス感覚も養われる時期。公園などでしっかり遊ぼう
歩き始めたばかりの段階は、バランス感覚を養う「三半規管」も育ってきた事を表します。
昔は揺りかご、現代ではバウンサーや赤ちゃん向けハンモックなど「揺れ」で赤ちゃんが喜ぶのも、三半規管を鍛えるために必要な刺激だからでしょう。
立って遊ぶ時に注意しなければいけないのは、まだ三半規管がちゃんと育っていないために、後ろに倒れてしまう危険がある点。倒れて怪我をしないように気をつけてあげましょうね。
ひとりで歩くようになると、歩きたい気持ちがどんどん向上。ベビーカーなどに乗ってくれなくなりますし、家の外へ出たいと言い出します。また、高い高いなどを喜ぶようになりますし、体中どこをコチョコチョしても喜ぶようになります。
それだけ脳の神経支配が細部まで届くようになった表われ。この頃から「自分の手」など身体を自分のパーツとして認識し、コントロールしていく練習が始まっていきます。
ご飯を自分で食べたり、意味のある単語を話したり。育児が楽しいと感じる時間がこの頃から増えてくると思います。
春になって暖かくなってきたら、公園などへお散歩に行きたいですね。運動すると、水分補給も頻繁に必要となるので、水筒は必須ですよ。
さあ、春を満喫しましょう。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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