子どものクリエイティブ能力は「没入空間」が育む。結果よりも過程を大切に【藤原さんの育児学Vol.57】

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

子どもにも「ひとりで没頭できる場所」が必要

みなさんこんにちは。秋の行楽シーズンどこかに出かけられましたか?

我が家は遅ればせながらネット動画生活がスタート。秋の夜長を映画鑑賞で過ごしています。昨夜は、息子とトランスフォーマーのバンブルビーを見ました。主人公の女の子が、他界した父親の残した古いコルベットをガレージでレストアに励んでいるのですが、そのガレージの雰囲気に憧れます。

実は私も現在、ガレージを制作中であれこれ夢を浮かべては楽しんでいます。

という事で、今回のコラムはガレージの話……ではなく、一人で集中する場所や時間について書いていこうと思います。

没入空間は大人も子どもも創造力を膨らませられる?

子どもたちは秘密基地を作る事が大好き。私も小さい頃から何度も作っていますし、中学生の時だったか、竹藪の中に作った秘密基地にかまどを設置し、火をおこして遊んでいました。

今考えると、とても危ない事を平気でやっていて、子どもたちにマネさせるわけにはいきませんが、楽しい武勇伝です。

ツリーハウスや洞窟、屋根裏部屋など、絵本の世界にも現実の場所でも、魅力的な空間があります。

テレビを見ていても、ダッシュ島や所ジョージさんの世田谷ベースなど、まさに男の憧れというか夢の詰まった生き方がありますよね。

世界的にも、アップルコンピュータなど、ガレージで生まれた企業は多く、冒頭の映画しかり、道具に囲まれひとりの世界に没頭できる空間は何かを生み出すには必須条件なのかもしれません。

私のお店に来られた方なら知っているかもしれませんが、工房にガレージに、スタッフにも個別スペースを作ってと、落ち着いて集中できる空間を作ります。

子どもたちにも、子ども部屋に加え、屋根裏部屋や段ボールハウスなど、大小様々なスペースを用意しています。

おもしろいもので、ゲームに負けた時、叱られた時、暇な時、と子どもたちもそれぞれで場所を使い分けていて、おそらくその時間で脳を整理しているのだろうなと思います。

2才半頃から始まる子どものクリエイティブ活動

子どもは、だいたい2才半頃からひとり遊びが始まります。もちろん、それ以前もひとりで遊びますが、集中して創作活動が始まるのがこの頃。

独り言を言いながら人形遊びをしたり、ブロックで何かを作ったり。新たなものを生み出すというクリエイティブ活動が生まれます。絵を描く、セロテープやハサミを作って工作する、裁縫や料理など、人間しか成し得ない能力がすでに2才で誕生するのです。

大人になって、不器用だと感じている方々は、この頃の成長環境に要因があるかもしれませんよ。

【関連コラム】2歳半からのイヤイヤ中期は行動の大変革期!唐突な赤ちゃん返りの対処方法も紹介【藤原さんの育児学Vol.48】

子どもの創造力を養うなら「没入できる場所と時間」をつくってあげることも大切

さて、このように子どもも大人も新たな能力を生み出そうとする時には、本やパソコンだけではなく“場所づくり”も意味があると思います。

では、その場所にはどういった要素が必要なのでしょう?

私からの提案は、まずは道具。

仕事柄、家具やおもちゃなど、様々な物を修理したり作ったりするので、私の工房にはいろいろな電動工具がところ狭しと並んでいます。壁一面もまさにガレージ!といった具合にゴチャゴチャと工具が並んでいますが、これが落ち着くんですよね。

妻からは、来る度に狭くなる、もっとキレイにしなさいと言われますが、中々直せない品や塗装最中のものなども日々入れ替わり、キレイになっているのは年に数日でしょうか。

車のレストアといったガレージの話も、中々解決しない課題のもっともな例。

息子も今は屋根裏で何ヶ月もプラモデル作りに励んでいますし、幼稚園児の娘も部屋を次々飾り付けておもしろい空間作りをしています。結果よりも過程が大切とはよく言いますが、タイムリミットを設けない取組を子どもたちにさせてあげましょう。

湿気の多い日本では、アメリカ映画のような埃まみれにタイムスリップしたようなガレージライフは無理です。

しかし、子どもたちが大切にしている秘密基地や部屋の一画を、汚いからといって簡単に壊したり掃除してしまわないようにしてください。良かれと思ったその行動が、子どもの脳が開花する可能性を奪っているのかもしれません。

3才を過ぎる頃には、子どもたちは家のどこに何をしまったかすべて覚えていられる程の記憶力が育ちます。片付けをする時には、親子で一緒にしまう事、勝手に捨てたりは絶対にしないようにしましょう。

【関連コラム】子どもが進んで片付けたくなる仕掛け事例と教え方のタイミング・方法を紹介【藤原さんの育児学Vol.50】

オススメは、いらない物はひとまず段ボールなどで保管して、半年経った頃に一緒に開けて、捨てるかどうか相談すること。その時の子どもの反応がどうなるかは、ぜひ挑戦して確認してくださいね。

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レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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