子どもが文字を読めない・書けない理由は?原因を理解して親子で取り組んでみよう【藤原さんの育児学Vol.56】
気になる子どもの「文字の理解」。読めない・書けない理由をひも解いてきましょう
みなさん、こんにちは。幼稚園・保育園の入園案内や進学準備の案内が届き、新年度の準備が始まってきましたね。
私の息子は、この1年間で12cmも身長が伸びて、妻を追い越し、もうすぐ私に並びそうな勢い。一方の私は腰が痛くなったり、ビールを飲むとすぐに眠気に襲われたりと、どんどんお爺ちゃんに近づいています(泣)。
5才の娘はと言うと、「お手紙書きたいブーム」が到来し、毎日のようにパパへお手紙(絵手紙)を書いて渡してくれます。うれしいですが、捨てるわけにもいかず、数の多さに困っていますが……。
さて、今回の育児コラムは「文字の理解」について書いていこうと思います。
新年度準備、制服やカバン、筆記用具などの準備も必要ですが、子どもたちの能力も見てあげましょうね。
どうして読めない、書けないのか?その原因は子どもだけにあらず
実は、最近立て続けに「子どもが字を読めない」という相談がありました。
思い返せばここ数年、同様の相談が結構あり、小学校5年生の息子がカタカナを半分程度しか読み書きできないとか、県内のある高校のプリントでは、漢字に全てフリガナがふってあるといった話も聞いています。※その高校では保護者宛の手紙も漢字に全てフリガナをふっているとの事。
日本国民の現在の識字率は99%と言われていますが、私自身ネット記事を見ていて、読めない漢字もありますし、書くのはとても苦手。しかし、パソコンやスマホが広がった現代では、日常生活で困る事はあまりありません。
ですが、小学校高学年でカタカナが読めない、高校生が学校のプリントを読めないというのでは、子どもにとって学校の時間を有効に使えているとは言えない状況です。
小学校に入学すれば、日本中で毎日の音読が始まっているはずなのにどういう事なのでしょう?
実際、ネットニュースなどでは頻繁に「教科書が読めない子どもたち」「学習障がいとは」といった話題を目にします。教育現場では問題が明確化しているが、対策が不明なために放置されている子どもたちが増えてきているようです。
男の子と女の子で「文字の教え方」は違います
つい先日、公民館で講演した時、「小学生のお兄ちゃんより、幼稚園児の娘の方が文字を読むようになり、お兄ちゃんへどう対応して良いか教えて欲しい」という相談を受けました。
この相談の場合、お兄ちゃん(男の子)への文字の教え方を周りが理解しているか、文字を読みたいブーム・書きたいブームがいつあったのか、何らかの発達障がいの兆候はないか、という疑問点が湧きます。
以前のコラムでもふれたと思いますが、男の子と女の子では文字の教え方が違います。
日本の教育環境は、家庭では母親が育児を担当し、保育園の保育士さんも幼稚園の先生も、小学校低学年の先生も女性がほとんど。低年齢の教育・保育現場を圧倒的に女性が占めているために、男の子へ上手に文字を教えられる人がいないという状況があります。
これは、子どもに発達の問題があるのではなく、環境によって文字の理解が進んでいないという事を表しています。
また、逆に言えば、女の子で文字の理解が進んでいない場合は、学習障がいや心理的ストレスなど、原因の探し方が変わってくるでしょう。
子どもの成長を見ていると、文字を読みたいブームの時には、散歩中に見る看板や絵本の中などから読める字を見つけて読みますし、文字を書きたいブームがくると、絵や作品に名前を書こうとするなど、文字を教えるタイミングが分かります。
しかし、近い年齢で兄弟が誕生して育児が忙しくなり、保育園などに預ける時間が多くて子どもの行動の変化に気付けないと、文字の吸収が早い段階で文字を教えられずに、時間がドンドン経過。結果、気づいたのが小学校高学年になってしまったという事になるかもしれません。
息子の小学校生活でもそうでしたが、小学校高学年になると担任の先生の男性率が上がってくるので、ココで先生から指摘されて驚く親御さんもおられます。
“テストの成績が悪いから勉強ができない子”と、子どもたちは評価されがちですが、実は問題文章が読めていないという根本的な原因があるかもしれないのです。
この兄妹の場合、お母さんの心配は「お兄ちゃんが自信を失ってしまうのではないか?」、「妹が兄をどう思うのか?」という点であったと感じるのですが、問題はお兄ちゃんの読み書き能力の低さへの対応にあると思うワケです。
文字が読めない、書けない原因は意外なところにあり
また、別のあるお子さんは、小学校4年生の頃に平仮名も完全ではなく、カタカナは半分程度という状況だと分かり、様々なIQ検査や発達検査を行ったが、それらでは平均よりも良い数値であったという例もあります。
この場合、私からの質問は、左右の概念が育っているか?というものでした。
これも以前のコラムで書いていたと思いますが、平仮名の「し」とアルファベットの「J」などの向きの違いは、左右の違いや方向性が頭の中で整理できないと分からないので、積み木遊びの内容や間違い探し、地図を読めるかといった質問をします。
このお子さんの場合は、やはりこういった遊びが苦手との事なので、その部分を補完する学び方法や鍛える遊びを取り得れてみてはとアドバイスしました。
先日、新聞報道などでもコロナ禍において、不登校生徒が増えたり、未成年の自殺者数が増えたりと、辛いニュースが流れていました。学校生活で嫌な事があり、教室に行けない子どもにとって、保健室や図書館が救いの場となる事も多いと思いますが、文字が読めないと図書館の選択肢が減ります。
池上彰さんは、発展途上国の図書館を見れば未来が分かると話されていましたし、鳥大病院は今年病院内に書店をオープンさせています。読み書きは、イヤイヤ学ぶ物ではなく、人生を豊かにするためのツールのひとつ。
娘が私と一緒に絵本を読んでくれるのはあとどの位の時間なのでしょう。
みなさんも、子どもの識字能力がどの位なのか、しっかりチェックして親子で一緒に学ぶ時間を作ってみましょう。成長期の子どもの吸収力の高さに驚かれると同時に、子どもの気持ちも分かるようになってくると思いますよ。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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