【藤原さんの育児学Vol.3】スウェーデン旅行記1
これが日本の未来? 進化したスウェーデン社会の今
15年前、私は初めて北欧を旅しました。それまでに、アメリカや中国、イタリア、アジアの国々などを旅していたので、海外の異文化には慣れていましたが、フィンランドやスウェーデンで受けたショックはとても大きく、帰国後に今の会社を興すことになります。「初めて出合った日本より進んだ国」そう感じた事を覚えています。OECD(経済開発機構)による調査では、“学力世界一”にフィンランドが選ばれ、IKEAに代表される新しい北欧デザインが次々と生み出され、“世界一幸福度が高い”とデンマークが新聞紙面を飾るなど、2004年当時の北欧は名実ともに輝いていました。
その後、日本にもIKEAやH&Mが進出、多くの本や雑誌で紹介され北欧デザインは身近な存在になっていきました。一方で近年は、シリア難民などの移民流入や携帯電話大手ノキアの陥落、EUを取り巻く離脱問題など多くの問題が発生していました。私自身も、北欧企業と取引をしているため、企業買収や吸収によってビジネス面でも影響を受けていましたし、3年ほど前には現地に住む友人から「治安が急速に悪くなり、公共交通機関は使えない」などと耳にする状況になっていきます。
日本でも、外国人観光客や労働者の受け入れ拡大、ネット企業の台頭、人口の東京一極集中等、社会は大きく変わりました。地方の米子に住む者として、この街の将来に大きな危機感を感じていた私は、今回、初心を取り戻すべく現地へ足を運ぶ事にしました。
首都ストックホルムは、ジブリ映画「魔女の宅急便」の舞台ともなった歴史ある美しい街です。初夏の7月は、白夜で夜も明るく治安面でも安心です。
着いてまず驚いたのは、キャッシュレス社会であること。日本でもようやくスマホアプリ決済などが広がってきていますが、その比ではありません。ホテルでは現金払いを受け付けてくれませんし、自販機や交通機関、レストラン、市場でも全てクレジットカード決済を求められます。現地の人々はスマホアプリやICチップなどを使っているようですが、観光客は簡単に使うことができません。そのため、今回1円も両替しませんでしたし、現地の友人は久しく現金を見ていないと話していました。
ストックホルム駅前には、15年前にも行った思い出のマクドナルドがありました。当時は世界初のデザインマックとしてオシャレなお店だったのですが、今回入ると全く変わっていました。まず、注文はテレビ画面のような大きなタッチパネルから自分で行います。決済も自分でクレジットカードで払い、予約番号順にカウンターから商品を受け取る形式になっています。おもしろいのが、「カウンターに取りに行く」のと、「席に持ってきてもらう」のとでは価格が違う事。メニューに至っても、半分はヴィーガン(菜食主義者用)メニューが用意され、私たちがコンビニでサラダを選ぶぐらいの感覚で浸透しています。食べてみても美味しかったですよ。デザインマックが日本でも広がった事を考えると、タッチパネル方式は今後日本に導入されるかもしれませんね。ちなみに、スウェーデンではバーガーキングなど、他のファストフード店も同様のシステムを取り入れてましたが、お隣デンマークでは見かけませんでした。
不便な点として、トイレは店舗スタッフに頼んでカギを開けてもらわないと使えないというルール。これはイタズラや麻薬などの対策だと思われますが、現地人しか分からない制度かと。これらの事から、社会制度で移民コントロールをしているのではと感じます。信用調査で発行されたクレジットカードを持つ者や、現地に住む者しか知り得ないルールを作る事で、外国人を選別しているように感じたのは考え過ぎでしょうか?
スウェーデンは長らく、移民を積極的に受け入れることで国が成り立ってきました。様々な文化が入り乱れ、そんな中から新しいアイデアやポップな芸術が生まれてきました。日本は現在、外国人の安い人件費や観光客が落とすお金が目的になっているようですし、外国人による犯罪も増えています。伝統ある日本文化の観光地が、外国語の看板ばかり増えている事に疑問が湧きます。便利さと不便さを上手に使い分けること、スウェーデンの選択は何を意味しているのでしょう?
さて、今回はキャッシュレス社会について書きましたが、次回以降では、スウェーデンの小学校を見学したお話や、一般家庭の生活などをお伝えしたいと思います。楽しみにしていてくださいね。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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