育児に大切なのは「子どもの話を最後まで聞く」こと。教えるではなく聞く姿勢を
当たり前だけど難しい「子どもの話を最後まで聞く」事。でも実現すれば、子どもの心はより豊かに
みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。
先日、11月に日野町で行う育児講演会の打合せがありました。
要望を伺っていた際、「藤原さんは、育児で何を大切にしておられるのか?」という質問を受けました。
いろいろな場面で聞かれることが多く、普段から話す内容なのですが、コラムでは書いていなかったかなと思い、今回は《私が育児で大切にしている事》でコラムを進めたいと思います。
当コラムでは、0才から20才くらいまで、幅広い育児話を書いています。
その年齢、発達段階に合わせて、対応を変えないといけない!と、毎回申していますので、大きく全体を捉えたコラムは珍しいかもしれませんね。
ただ、細かな発達の違いを見分けるのは、中々難しい事かもしれませんし、それらを覚えるのもかなり大変。
そういった意味では、子どもに関わるみなさんに、覚えておいて欲しい内容になるかもしれません。
みなさんは、育児で何を大切にしておられますか?
- 子どものやりたい事をさせる
- 健康第一
- 多くの体験や学びを与える
いろいろありますよね。
私が、いつも意識しているのは、《子どもの話を最後まで聞く》事。みなさん、できていますか?
言葉を話し始めたら、子どもたちはいっぱいお喋りをして、伝えようとしてきます。
語彙も経験も少なく、世の中のほとんどのことを知らないのに、ずっと何やらお喋りしていますよね。
その時は大抵、何かやりたい事があるのだけど、上手くできない!って訴えている事が多いと思います。
私はこれを成長意欲だと捉えて、日常の小さな事、大人からすればどうでも良いような事も、できるだけ後回しにせずに、その場で叶えてあげようと思って向かいます。
教育と育児は別物。アウトプットを優先させてあげて
「育児」と聞いて、多くの方は「子どもに何かを教える事が大切」だと考えているのではないでしょうか。
英語は何歳から教えたらいいか?ピアノや水泳などの習い事、塾は?
ご飯を食べる時のマナー、お片付けの方法、寝起きの時間などなど。
「教育」と「育児」を混同してしまい、子どもからするとインプットばかりで、アウトプットとのバランスが崩れていきます。
アウトプットは、会話で伝える力、自分の気持ちに気付く力、コミュニケーション力の事。
アウトプットするには、言語化する能力が必要になってきて、それは自分の事をちゃんと分かってもらう事につながります。
こう話すと、子どもに5W1Hを教えようとする親が現れますが、そういう事ではありません。
少子化問題、不登校問題、子どもの自死、学力低下。今の子どもを取り巻く環境は、悲惨な状況であると数字が物語っています。
上記のインプット・アウトプットの関係で社会変化を見ると、遊び中心であった保育園が、こども園になり教育要素が増え、インプットの場と化していきます。
育児支援金も子どもの将来のためにと、習い事の月謝に変わり、学童や子ども食堂など子どもの話を聞く人が、子どもの人数に比べて極端に少ない場所に使われ、これもインプットの方向。
どんどん減るアウトプット環境。核家族化・高齢出産が一般的になる前、おばあちゃん・おじいちゃんに育児を手伝ってもらっていましたが、足腰の弱った高齢者は「話を聞く」が必然的に育児の中心になっていた事でしょう。
1対1で人生経験豊富な人との会話、何歳になっても楽しい時間ですよね。
家庭をアウトプットの場に。親子で「充電タイム」をしっかりとれば、社会・学校での頑張る力に!
フリースクールやオンライン学校など、社会はどんどんサービスを多様化しています。その一方で、子どもたちはアウトプット環境を欲して、SNSなどで自分の意見を発信する場所を探しています。
■大人は子どもを育てるためにインプット機会を増やす。
■子どもはそこでストレスを感じても、家庭や学校、そのほかの環境で言う場が与えられないので、SNSで発散する。
完全な悪循環であると私は感じています。
AI時代、少し前にChatGPTのバージョンが更新された際、心を埋める話し相手となっていたのに、バージョンアップで専門家要素が増え、寂しさを訴える声がSNS上で広がりました。
裏を返せば、自分の話を聞いてくれる相手がAIに変わってきている事。
近い将来、子どもの話はAIが受け答えするようになりそうですが、それは本当に子どもが求めている事なのでしょうか?
インプットとアウトプットの関係は、家庭と社会の在り方としての環境作りにも、重要な要素だと考えています。
我が家では、家庭はアウトプットの場、玄関を出た社会はインプットの場として考えています。
幼稚園や学校であった事、感じた事を伝える場。私も今どんな仕事をしているのかを家族に伝える事で、仕事の課題を客観的に捉える事ができます。
家庭での時間が、子どもたちにとっても、親にとっても《充電タイム》となり、学校や街ナカといった社会で頑張る資源となるように意識しています。
子どもたちは大人の「今は忙しいから」の言葉で「聞いて欲しい!」の思いを隠してしまっているかも
しかし、今の日本では、家庭を作ることがとても困難になってきました。
バブル崩壊や就職氷河期に育ち、国民の大半の家庭で親はストレスフル、家庭は親のストレス発散の場になってしまいました。
親からの性犯罪、DV、ヤングケアラー、子どもたちの声が無視されています。兄弟姉妹間での子守りも、本来は強制されるべきではありません。
私が講演などで保育園や公民館などへ行った時、小さな子どもたちが寄ってきて、四方八方から話しかけられます。
- 先生は何の果物が好き?
- 子どもいるの?
- 私を追いかけてきて!
全部は叶えてあげられませんが、一つひとつに返答していると、どんどん子どもたちが増えてきて、おしくらまんじゅう状態に。
これらは、子どもたちが「お話を聞いて欲しい」という慢性的な欲求不満状態が続いていると考えられないでしょうか?
この時、私が「今は忙しいからね、ゴメンゴメン」などと言うと、サーッと子どもたちは離れて行ってしまいます。
「今は忙しいから」の言葉を普段から言われているからかもしれない、邪魔したら叱られると、学んでいるのかもしれません。
親の前で緊張している子どもや、私にはたくさんお話してくれるのに、親には無言という子も見られます。
子どもの話を最後まで聞く、そのタイミングも重要。
お父さんが家に帰ってきてから、「パパは少ししか時間がないから、今日何があったか教えて?」などと問いかけても、それは子どもが今思っていることではなく、“何か話さないといけない!”という無言のプレッシャーになってしまいかねません。
子どもが話しかけてきた時に、手を止めて時間を作る意識。
子どものペース、タイミングに合わせるのはとてもストレスですよね。
晩ご飯を作らないといけなかったり、持ち帰った仕事や投資状況を確認したり、大人はルーティーンを崩されたくないもの。
でも、ちゃんと話をゆっくりと最後まで聞いてあげたら、子どもたちはとてもうれしそうな表情になります。
子どもが“安心”を感じた瞬間、その表情を見るととても幸せな気持ちになります。
現代的な言葉で言えば、それは承認欲求が満たされた事になるのかもしれません。
長々と書いてきましたが、親子という構図を夫婦に置き換えて読んでみてください。
子どもと書いている部分を、妻や夫に置き換えたらどうでしょう?
相手の話を最後まで聞くという事、大切ですよね。
ちなみに、大人の場合、最後までの最後がどこかを見極めないと、話がどんんどん広がって何の話をしていたか忘れがちです。
でも、それが人間だと思いませんか?
何でも知っているAI、何を言い出すか分からない人間、おもしろいですよね。
このコラム書いているちょうど今、娘が小学校から帰ってきて「帰り道でカニを3匹見つけた〜」と話しかけてきました。
私の人生で一度もそんな経験はありませんし、AIもそんな事を言ってこないでしょう。
彼女にとって、その感動をパパに伝えて共有したかったんですよね、きっと。心がちょっと温かくなった瞬間です。
会話をするうえで、もっとも大切な事は、この共感にあります。
相手の立場に立って、自分も同じように感じたり寄り添う能力。みなさん、ぜひ子どもたちの話を聞いて、共感してあげてください。
こんな身近なところに幸せの種があったのかと感じられると思いますよ。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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