奥出雲町『絲原家記念館』の“文化財カフェ”は居心地良過ぎの穴場!?【編集部は知りたがり】
島根の奥座敷・奥出雲町にある元松江藩の鉄師頭取「絲原家」へ
今回お邪魔したのは島根県奥出雲町にある『絲原記念館』。「絲原家」は中世武家の一門であり、約400年の歴史を誇る言うまでもない名家です。最近、耳にするようになった古式製鉄方法「たたら製鉄」にもゆかりが深い、というか語るうえで外せない場所でもあります。
奥出雲町は全国各地にある鉄の生産地の中でも特に生産量が多かった場所で、最盛期の江戸時代末期には全国の約30%を生産していたほど。その中で絲原家は鉄師、いわば「たたら製鉄の管理者」を任せられ、田部家、櫻井家と並ぶ“鉄師御三家”として、当時の松江藩の財政を支え、地域に文化を発信していました。
だいぶ前置きが長くなりましたが……、今回はとある人からのご紹介で、なんと絲原家の16代目の奥様がとにかくステキ!との情報を受けて、”ステキ”って言葉が大好物な編集部・いしやんがお話を伺いに行ってきました~!
お客さんからの願いを受けて誕生した『茶房十五代』には“ひと息つく”に特化した細かい仕掛けも!?
名家だけあって、敷地内は広大。2つの展示棟、庭園、さらに林間散策路「洗心乃路」(現在は冬季閉鎖中)も含めれば、広さに加えて見どころも多彩なので、時間をたっぷり使って見物してきたい。しかし、当時は休憩する場所といえば、各所にあるベンチか、住宅内の腰掛けスペース程度。
そこで絲原家の15代目が「みんながひと息つける場所を作ろう!」と発起人となり、16代目とその奥さんが実行チームとしてオープンさせたのが今回ご紹介する「茶房十五代」です! (めちゃくちゃ前置き長くなっちゃった…)
こちらの住宅は1924年に建築されたもので、なんと国の登録有形文化財!!
もともとは事務所として使われていたスペースで、天井の格子をはじめ、趣きはほとんどそのまま残されています。しつらえだけでなく、調度品にもこだわりが満載。
「“フゥ~”とひと息つくのにベストな物を探すために座り倒しました!(笑)」と話す16代目の奥さん。そのイスは座面が少し傾斜がついていて、腰掛けると目線が自然と上向きになり、よりリラックスできます。カラーバリエーションもアースカラーで統一され、文化財の雰囲気ともマッチング。
机も「いつか使いたいととっておいた」という、絲原家が所有する山林から伐採されたケヤキを使用したもの。
そのほかにも“ひと息つくための仕掛け”がそこかしこに散りばめられていました!
“ペアリング”を意識したおやつでちょっとひと休み
茶房のメニューはドリンク数種と、おやつ3種のシンプルな内容。これにも理由があり、奥さん一人で切り盛りしているため、メニューを増やせば手が回らなくなり、お客さんを待たせたてしまう。それによって「せっかく休んでもらっているのに、結果として失礼になってしまう」。店の目的はあくまで「記念館に、奥出雲に来ていただいた方に“ひと休み”してもらうこと」であり、もちろん要望はあるそうですが“失礼に当たる”のでメニューは増やしていないそうです。
この“失礼”という言葉は、奥さんと話していると度々出てきて、例えばコーヒーの話。ここのコーヒーは松江市のコーヒー焙煎所&カフェの『リトルコートコーヒー』から仕入れているものですが、「せっかくおいしいコーヒーを焙煎されているのだから、そのおいしさを楽しんで欲しい。そうじゃないと失礼じゃないですか(笑)」の言葉通り、今回いただいたガトーショコラも甘さ控えめで、ビターな味・香りがコーヒーと絶妙にマッチしていました。
“失礼をしない”といえば当たり前の事ですが、中々口に出すことはないですし、ふとした時に出てくるということは、日頃から強く意識されていているんだと思います(こう言うと奥さんから“えぇ~!”って言われそう(笑))。私も見習わねば!!
奥さん、ありがとうございました!
取材の最後に無理言って16代目の奥さん・ゆうこさんの写真を一枚。終始笑顔の聞いていた以上にステキな方でした。
ちなみに、私の田舎が奥出雲ということで、奥出雲あるある、U・Iターン者は草刈り機必須な話など、脱線気味な取材でしたが快く対応していただきありがとうございます!! 懲りずにまた行きます!
茶房十五代
サボウジュウゴダイ
電 話:0854-52-0151(絲原記念館)
住 所:島根県仁多郡奥出雲町大谷85 絲原記念館内
営 業:10:00~16:00*絲原記念館は9:00~17:00(最終入場16:00)
休 み:水曜(絲原記念館は開館)、年末年始
料 金:【絲原記念館】3ヶ所共通券大人1000円、高大生700円、小中生300円、未就学児無料*12~3月は大人800円、高大生550円、小中生250円(洗心乃路は冬季休業)
駐 車:絲原記念館駐車場を利用
【情報求ム!】日刊Lazudaに取材してほしい人、モノ、コトなどありましたらぜひお問い合わせフォームから送信してください!
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この記事を書いた人
タウン情報ラズダ編集部
編集部いしやん
島根・鳥取のタウン情報誌ラズダ編集部スタッフ。島根県松江市出身→浜田市→大阪→奈良→松江市在住。
「日刊webラズダ」では編集デスクを務めています(ただの机です)。喫茶店の冷えたおしぼりと、帽子が大好物な三十路。
日刊webラズダでは主にグルメ、ショップ、キッズ関係の記事を担当しています。あ、あとバツイチ&2児のシングルファーザーです。(←どうでもいい??)
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