【藤原さんの育児学Vol.9】男の育児参加~少子高齢化のトップランナー山陰で考える~

レインディア藤原さん
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少子化対策は“男性の育児参加”が必要

先日のニュースで「男性公務員の育休 原則1ヶ月以上を促す方向で検討」という政府の取り組みが紹介されていました。

う〜ん、なんとも情けない……。育児を何と思っているのか、現代社会の問題の核はここにありそうです。

北欧諸国ではいろいろな育児休暇の制度がありますが、例えばスウェーデンでは夫婦に480日の育休が与えられ、その内90日は母親も父親も義務として取得しなければなりません。

この日数は、土日祝日などもともとの休みの日は除外しての90日なので、夏休みなどを考えれば最低でも半年は父親に育休取得義務が発生しています。もし休まないと、母親の育休もカットされ、職場での昇進や昇給もなくなるとの事で、父親の育休がいかに大切にされているかが分かります。

とはいえ実は、スウェーデンも昔は日本と同じように育児は母親任せの国でした。

少子高齢化! と今日本で大問題となっているこの現象が原因で、北欧諸国は国の存亡を賭けて大転換を図り、今では出生率が回復しているのです。

日本は、子育て対策として保育園などの整備をしていますが、一向に少子化の傾向は変わっていません。

それはなぜか?答えは簡単、男が変わっていないからです。

男性が育児に参加、それは女性社会に男性が入るという事。しかし、政治にしろ家庭にしろ、社会にしても、全て日本は男性社会に女性を取り込む事で男女平などを叫んでいます。

世界中で大和撫子はすごく人気があっても、日本男児が不人気な理由がこのことからも伺えます。

では、一体どうすれば男性を育児に向わせる事ができるのでしょうか?

ひと昔前に流行った「イクメン」など、育児を積極的にこなしているパパ達も、流行とともに減ってきています。それは、そもそも育児の知識がないために、ネットの情報などを頼りに育児をしなければならない環境も原因のひとつでしょう。

私には2人の子どもがいますが、妻の出産にあたっても、行政などから全く育児の知識を学ぶ機会がありませんでした。

私は、講演などでよく「育児は自動車と似ています。いきなり自動車を運転しろと言われても怖いし不安で、楽しむなんて全く無理ですよね。でも、自動車学校で基本を学ぶ事で、安全に楽しく、周りにも迷惑をかけない運転ができるわけです。」

「子育ても、子どもの命が関わり不安で怖い事ばかり。しかし、正しい知識と相談相手があれば、楽しめるようになります。」

自動車運転を学ぶ自動車学校があるのに、なぜ育児を学ぶ育児学校がないのでしょう。北欧では、妊娠期から体内で胎児がどのように発達しているかレクチャーする本やDVDを配って親育てをしています。

日本では「子どもは放っておいても大きくなる」といった風潮が残っているのかもしれませんが、体罰やネグレスト(ネグレクト)のニュースを聞く度に心が痛くなります。

少し長くなりますが、以下に「パパが育児を手伝ってくれない」という東京のママから寄せられた相談へ応えたお手紙を紹介したいと思います。

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ご主人に関してですが、世界的にみても男性に育児参加をさせるのは難しい事で、大きな問題となっています。ですので、即効性のある効果的な解決策があるわけではありませんが、心理的な変化をもたらすことが先だと思います。

まず、ご主人の幼少期の経験やパパにしてもらいたかった事を機嫌の良いときに聞いてみましょう。男性の行動は過去の経験に起因するので、自分の幼少期の気持ちを自分が叶えられるかもしれないと気付かせる事ができれば第一歩となります。

また、今はまだ難しいでしょうけど、パパの似顔絵を描いたり、お手紙を書いたりすると少し 喜ばれるでしょうし、会話が成り立つようになると母性ならぬ父性も出てくると思います。 とはいえ、ママは今が大変なので、今すぐ手伝って欲しい気持ちだと思いますが。

父親に限らず、男性を動かすときには具体的な指示がコツです。例えば、「子守をお願い」と伝えても、何をしたら良いのか分からないので「嫌」と返事が返ってくると思います。オムツひとつとっても、着替えでさえ服を選ぶ事が出来ないのが男親なのです。

ですから、「どこどこの公園に行くと○○くんの好きな滑り台があるから30分だけでも遊んできてくれない」とか「段ボールを用意しておいたから秘密基地を作ってあげて」など、具体的に提案してみてはどうでしょう?

もし手伝ってくれたら「パパは凄いね~」としっかり褒めて評価することを忘れないでください。晩ご飯の時にでも「今日はパパが育児を頑張った記念」などと喜ぶメニューを用意してもいいかもしれません。どうしてママがここまで頑張らないといけないのかとお思いでしょうけど、世間で父親は子ども扱いされている理由がこれです。

男性は、分析できるデータが集まると、もっと知りたいという知識欲が出てきます。面倒でも、毎日○○くんの成長やママの一日の情報をパパにインプットしていってください。ある程度情報が集まれば、それが愛情に変わって、親子の時間に繋がってくると思いますよ。

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この半年後、「主人が息子とゲームをして育児に参加してくれるようになりました」とお手紙が来ました。当初は、育児が大変ならベビーシッターを雇えと言っていたこのパパ、子どもと向き合うことでママの信頼も得られたようです。

近年の日本では、子どもが2才になるまでに離婚する夫婦が増えているというデータがあります。出産の大変さは分かつことができませんが、育児の大変さは夫と分かつことができます。

逆に、パパだけで育児を頑張っている家庭もあります。北欧では、男性が育児に参加することによって、子どもの脳の研究や発達の研究が進んできました。上記したように男性の脳は、物事の原因や理由を解明することに興味が湧きます。

男性が育児に参加することで、育児の負担を軽減する商品の開発や、安全な社会の構築、法整備も変わってくるのではと思います。

男性の育児社会は、地球上で未開拓な部分、男性諸君、たくさん育休をとってくださいね。

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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