相談事例「3才4ヶ月女児、食事中に歩き回って困る」具体的な育児アドバイスとは?
相談事例:食事が進まない3才4ヶ月・女児への育児アドバイス
■藤原さんの育児学Vol.89■
みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。
3月に入り、花粉症で春の訪れを感じるこの頃。今年から、娘も花粉症になってしまい、見ていてかわいそうです。妻は花粉症ではないので、私の遺伝かな・・・ゴメンね。
さて私は、育児学習センター「コーセリプロジェクト」の月例イベントで、月に一日だけですが育児不登校相談会を開催しています。
今回のコラムは、たまたま同じ相談を、連続で複数のご家族からいただいたので、その相談について書いていこうと思います。
その内容は「3才4ヶ月、女児、食事をじっと座って食べてくれず、すぐに立ったり遊びに行ったりしてしまう。それを夫が叱って、それを見ているのも妻としては辛い」という相談。
私はまず、性別と月齢、家族構成を聞いてから、返答内容や対策を考えます。
今回は3才4ヶ月の女児でしたので、
- じっとしていられる時間が何分くらいか?
- オムツは取れているか?
- 食べ物の好き嫌いはあるか?
- 子どもがご飯を食べる時、親も一緒に食べているか?
- 遊んだ後、食事を再開するか?
など、食事に関係する質問をします。その後、
- 数字をいくつまで数えるか?
- テーブルでパパやママの席に、ほかの人が座る事を阻止しようとするか?
- ママにお茶を入れようとするなど、親がする事を先回りしてしようとする行動があるか?
- 赤ちゃんの時の絵本やおもちゃで喜ぶか?
など、発達のバランスを見る質問をしていきます。
子どもの行動にはワケがある!
これらが分かると、子どもの行動の理由が見えてきます。
このご家庭の場合、夜はまだオムツが取れていませんでした。これは、体幹がまだ未熟で、脳が体内をコントロールしきれていない段階であると思われます。
女の子は、骨格が柔らかいというか、抱っこもしっかりしませんし、筋力の発達の仕方が男児と違います。脳で排便のコントロールが始まるのは3才頃からと言われ、このお子さんはこれからの段階。
そうすると、食べたものを体内で送る力もまだ弱いため、「身体を動かす事で消化に向けた動きをしている」可能性も考えられます。
親からすると一見、食事中に遊んでいるように見える行動が、実は食事を進めるための行動だったとしたらどうでしょう?
躾として食事中にマナーが悪いと叱る夫は、子どもの発達を知らないために、子どもの成長を止めてしまっているのです。
質問で「パパやママの座る席を守ろうとするか」との項目を入れていましたが、それは正義感が育っているか?安全テリトリーの構築が始まっているか?を知るための質問。
このような行動がある段階では、子どもの行動のすべては正義感からの行動になっています。子どもなりに、良い事だと考えて行動し始めるので、この時期は子どもの行動をすべて認めてあげる事で、より正義感が育ちます。
例えば「ママにお茶を入れようとして、まだ上手にいれられなくてこぼした」としましょう。
家事・育児でママに余裕がない場合、お部屋が汚れて、掃除の手間が増え「余計な事しないで!」と叱ってしまうと思います。しかし、そもそも子どもは「ママを喜ばせよう!」とお茶を入れているのです。
筋力が足りなかったのかもしれませんし、掃除は大変だと思いますが、子どものやさしい気持ちを叱ってしまうと、ママの事を考えて行動しなくなりますよね。
食事も同じで、残さず食べる意識があるからこそ、もっと食べるためには身体を動かす必要があるのです。
よく、この月齢で早くも「うちの子は少食だから」などと、子どもが食べない理由を決めつけている親を見ますが、それは違います。
- 親が食べる姿を見せていない。
- 食べた物が子どもの体内でどういった動きをしているか想像できていない。
- お腹いっぱい食べた事がない。
- 運動が足りない。
- お菓子などでお腹が減らない。
このような状況では、食事を楽しめなくなります。
食事時間を1時間に。食べたり、遊んだりすることを許してあげて
まずは、現状の解説をして、次には対策を提案します。
最初に食事の時間を1時間くらい余裕をみてください、と。
その間は、食べたり遊んだり、席を立って歩いて、また戻って食べる事を許してあげてください。
また、食べる行為自体を楽しめるように、海苔やマヨネーズ、ケチャップやお醤油、ゴマやふりかけ、様々なトッピングを子どもにさせてあげましょう。この際、おいしいマズイは関係ありません。
そして、子どもがそうして飾った食べ物を、ぜひ親も少し食べてみてください。
食事は家族で揃って食べる事が大切。今の月齢は、正義感の育つ月齢なので、とにかく子どもの要望を受け入れること。
質問の最後に「赤ちゃんの時の絵本やおもちゃを喜ぶか?」がありましたが、それは2才9ヶ月頃から現れる「赤ちゃん返り」の行動が終わっているか、続いているかを見る質問。
もし、まだ赤ちゃんの時の物で喜ぶなら、赤ちゃん返りが終わっていないので、赤ちゃん扱いをしてあげる事で、次の成長ステップに進めますよとアドバイスします。
親からすると、困った行動も、成長の過程を知っていると見方や対応の仕方が変わってきますよね。私は基本的に、子どもの行動は、すべて成長するために必要な行動だと考えています。
決して、ママを困らせようとしたり、イタズラして喜んでいたりするワケではないのです。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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