食べない、好き嫌いには理由がある。子どもの食事量の変化を知ろう

レインディア藤原さん
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【藤原さんの育児学Vol.68】将来、“食”を楽しんでもらうために

みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。

新年度の環境変化に少しずつ慣れてきた5月、いかがお過ごしですか?

我が家の娘が小学校に入学したので、私は毎日下校時間にお迎えに行く日々、中年太り対策にはいい運動となっています。

しかし、家に帰ったら「お腹へった〜」と食べ物をねだるので、ついつい一緒にモグモグタイム・・・痩せませんね(笑)。

さて、今回の育児コラムはそんな「食」、特に「食事の量」について書いていこうと思います。

離乳食スタート直後の「食べてくれない」時のポイント

離乳食が生後6ヶ月でスタートすると、まず最初に聞かれる「食べてくれない」、「食べているより出している方が多い」といった声。食べてくれないと不安になりますよね。

アレルギーの懸念などから、日本では生後6ヶ月頃までは母乳やミルクで育ってきた赤ちゃん。離乳食は初めて口にする「異物」でもあるので、食べないのは防衛本能かも。

この生後6ヶ月頃というのは、生まれてきた時から持ってきたプログラムを忘れる時期になり、「おっぱいの吸い方が下手になる」、「遊びながら吸う」といった行動の変化が現れる時期。

それまでは、息を吸うのを忘れているのではないかと思うほど、一生懸命に吸っていてくれていたのに、これも不安になりますよね。

【関連記事】[子どもの食のお悩み前編]離乳食を食べない!好き嫌いが激しい!そんな時の対応は?

“生まれた時から持ってきたプログラム”と書きましたが、生まれたばかりの赤ちゃんの口にママの指を付けても吸うように、目も見えない、お腹の中で何かを口で吸ってもいないのに、生まれてすぐに「吸う」行動は始まります。

そして、6ヶ月頃にはそのプログラムを忘れ、新たに「記憶による行動」が始まります。

最初に食べてくれないのは、まだ食べた経験が無く、何も記憶されていないことが理由です。そのため、まずは赤ちゃんに覚えてもらう事が大切な第一歩となります。

ママの顔が見えて覚え始めるのも、この頃からなので、離乳食をママが食べる姿を見せてあげましょう。実際に食べなくても、まだ赤ちゃんの視界はぼやけているので、食べるフリだけで大丈夫。

離乳食を口に入れて、食べ物が口に入る事を覚え、そして飲み込む事を覚えると、食べてくれるようになるでしょう。まだ舌を上手に動かせないので、口内の少し奥の方に、少しだけ置いてあげるような感じが食べやすいかもしれませんね。

親が「食べる姿」を子どもに見せてあげて

生後7ヶ月、8ヶ月と2回食、3回食と1日で食事の機会も増えていきます。

とはいえ、量の面でみるとまだまだ少食、栄養をとるのは母乳やミルクがメインのため、食べる事に慣れるのが第一の目的。なので量は少ないかもしれません。

その後、9ヶ月頃には後追いの時期に入り、ママの行動をしっかりとマネするようになります。

ママと同じように、いろいろなモノを口に入れようとするので危険な時期に入ります。ですが、この段階から食事の際、ママや家族が食べる姿をしっかり見せていれば、その後に食が細くて困るという事は起こりにくいでしょう。

しかし、この後追い期は、ママからすると自分の時間がとれなくなり育児が大変になってくる段階。食事を一緒にとる余裕がなくなって、先に赤ちゃんだけ食べさせがち。

子どもの食が細くて困っている相談を受け、いろいろと話を聞くのですが、多くの場合、家族で一緒に食事をとれていない事が背景にあると感じます。何よりも親子で一緒に食事をとる習慣が大切ですね。

一緒に食事をとるためにも、ママだけでなくパパや周りの人たちの手助けも重要になってきます。

1才過ぎの子どもの「食べすぎ」問題。実は“終わりが分からない”だけかも

そして、1才を過ぎると寄せられる相談の内容が変わってきます。

それは「たくさん食べて困る」、「放っておくとずっと食べている」、「満腹が分からない」といった多すぎる事への不安。実は、1才過ぎの赤ちゃんは大人顔負けに食べる段階です。

まだお腹周りの筋肉が無いので、食べればどんどんお腹が大きく膨らみます。とはいえ、満腹がないわけではなく、終わりのサイン「ごちそうさま」を教えてあげれば食事を終えられます。

日本では、手を合わせて「いただきます」と「ごちそうさま」をしますが、動作が同じだと分かりにくい・・・。なので我が家では、「いただきます」はマグマグなどとコップを当てて「乾杯!」にして、「ごちそうさま」で手を合わせるように教えていました。

ごちそうさまをしたら、すぐに食器を片付け、赤ちゃんの前から食べ物をなくすことがコツです。

この頃には、水分補給も大事になりますし、卒乳の段階にもなるでしょう。ストローで飲めるようになり、味付けも大人と揃えられる位にまで広がってきます。

ちなみに、3才頃までのぽっちゃりお腹は、将来の肥満と関係ないと言われますが、経験上、お菓子で太らせると肥満に繋がるようなので要注意。

最近よく寄せられる相談に、「祖父母に子守を頼むとすぐにお菓子を与えて困る」というものがありますが、現代の祖父母は育児経験が乏しい方が多く、喜ぶ顔見たさにお菓子を与えがち。義理の親などには、特に気を使って言えないお母さんも多いと思います。

祖父母の側としても、赤ちゃんとのふれ合い方が分からない事が理由なので、おやつを用意して渡す、絵本やおもちゃなど赤ちゃんの気を引くモノを用意するなどして、時間を潰す方法を提供する事がひとつの対策になると思いますよ。

2才近くで食事量が激減。でも心配しないで大丈夫!

たくさん食べて、グングン成長する赤ちゃんですが、2才が近くなってくると食事量がグンと減っていきます。

三食しっかり食べていたのに、小さなおにぎり1個くらいしか食べなくなってくる子もいます。

これは、消化力が育った事に加え、運動能力が育ち活発に動くようになった事で筋力が育ち、お腹の膨らみが制限されるようになってくるからと考えられます。

1才過ぎの赤ちゃんは、食べたら出す!という感じでしたが、だんだんとお腹に溜められるようにもなってきますよね。

すなわち、食事量が減っても問題ではないので、無理に食べさせないであげましょう。

この2才前の段階で多く寄せられる相談には、食事量が減る以外にも、「食べ物で遊んで困る」、「フォークやスプーンで机を叩く」、「手づかみ食べが止められない」など。

意思の疎通がとれるようになってきて、ママの言うことを聞いてくれるようになったのに、食事のマナーが悪くなって躾を考えたくなるワケですが、これらの行動にはすべて意味があります。

食べ物で遊ぶのは、形が変わるモノや温度のあるモノに対する理解が進んだからです。

この段階では、砂や水、粘土など、形・温度変化のあるモノで遊ぶことができるようになり、それは成長の一段階として大切な学びの行動。なので、実は食べ物でしっかりと遊ばせた方がいい時期なんです。

テーブルの上がグチャグチャになり、服はベトベト、お片付けは大変ですが、1~2ヶ月しか続きませんのでぜひ遊ばせてあげましょう。

フォークやスプーンで机を叩くのも、道具を使う事を学ぶ行動ですし、手づかみ食べは見立て遊びの第一歩。この段階では、まだ躾は考えなくても良いので、赤ちゃんの意思を尊重してあげましょう。

そして、2才を超えてくると、また食べる量は増えていきます。

好き嫌いが出始める2才以降。いろいろな経験(変化)をさせてあげましょう

2才を超えてから寄せられる相談は、好き嫌いに関するモノが多くなってきます。

「好きなモノしか食べない」、「野菜を食べてくれない」といった事ですが、子ども目線で考えるとこの問題の対応策が見えてきます。

まず、好きなモノしか食べないのは、逆に言えば好きなモノをしっかり覚えているということ。

新しい刺激に関して保守的になっているので、世の中にはいろいろな食べ物がある事を教える必要があります。いろいろな料理を作ってあげることも大切ですし、旅行などに行って、変わったモノを食べてみるのもいいでしょう。

また、「野菜を食べてくれない」については、実はまだ赤ちゃんの味覚はそんなにシビアに育っていないと考えています。

というのも、現代社会では小学生でも甘味やうま味、酸味と苦味、塩味などの違いが分からないというデータが出ています。でも、赤ちゃんは実際に野菜を嫌うワケですが、それも防衛本能からの行動とみられます。

体を守るために苦いモノや臭いものを排除するのは、健康を維持するための大切な能力。

とはいえ、親としては野菜も食べてもらいたいですよね。この場合のアドバイスとしては、遊び要素を入れてみること。

マヨネーズやケチャップでトッピングしたり、カワイイ形に並べてみたり。海苔やお好み焼きソース、カラフルな漬物などを使ってもいいですね。

私の最終兵器は、ウナギのタレ、これを少しかけると、甘いので子どもたちは喜んで食べてくれました。

変化を付けることで、子どもたちはあっさりと野菜を食べるようになります。それでもダメな場合は、野菜の出てくる絵本やアニメ、器を変えることも意外に効果がありますよ。

3才以降では、包丁で実際に料理を作ったり、幼稚園などでご飯作りを体験したりと、自分で作ったモノを食べるおいしさを感じることが始まります。

また、好きなモノをものすごくたくさん食べる事で、胃や腸を慣らしていく事もできるようになっていくでしょう。

3才以降では、体幹が育ってくるので、トイレまで便を我慢したり、寝る前やお出かけ前にトイレを終わらせる事もできるようになります。

そして、活動がより活発になり、朝昼晩の食事だけでは足りなくなって、10時のおやつ、15時のおやつといった間食が必要になってくるでしょう。

ここからは、食費はどんどん増える一方ですが、子どもたちの成長のためには、おいしいモノをお腹いっぱい食べさせてあげたいですね。

食べ物も重要だけど「誰と、どんな風に食事を摂ったか」という経験が大事

小学校に上がったばかりの娘は、野菜も大好きですが、お菓子も大好きで、妻と毎日お菓子の話をして喜んでいます。

一方、中学生のお兄ちゃんは、いつの間にか魚が大嫌いになって、好き嫌いが増えていますが、食べる量ではパパを超え始めています。

そういえば、私も思春期に入るころから魚臭さが嫌いになって肉ばかり食べていた気が・・・。これも、味覚や嗅覚が繊細に育ってきた証なのかもしれませんね。

生きるための燃料である食事、その量は健康のバロメーターのひとつ。しかし、多ければいいワケではなく、体の成長を知ることが大切。

近年、「食育」という言葉が流行し、営利目的や脅迫的な文言が目に入るようになってきました。あれは体に悪い、こんな食生活はダメだなどと、不安をあおる言葉に踊らされていませんか?

サプリで栄養は摂っていても、胃や腸を活発に動かしたり、満腹感を与えるシグナルを出しているわけではありません。

食べ物にだけ目が行って、家族がバラバラで食事したり、毎日食べる時間がバラバラでは本末転倒ではないでしょうか。

子どもたちが、人生で“食”を楽しめるように、まずは家族での食事時間を大切にして欲しいと思います。

【合わせて読みたい】
[イヤイヤ期大解剖その1]赤ちゃんへの対応は言葉ではなく行動で示そう

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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