原因は?その時夫はどうすべき?産後うつを考える前編【藤原さんの育児学Vol.62】

レインディア藤原さん
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孤立化しがちな母親。「産後うつ」について考えるコラム【前編】

2022年ももう2月。私は誕生日を迎えて45才になってしまいました。

先日、NHKのニュースで男性更年期の話題が取り上げられ、取材を受けた男性は47才で、5年ほど前から辛かったと語っておられました。

思い起こせば、男の厄年42才(数え)の頃にはいろいろなことがあり、『出雲大社』でお祓いしてもらいましたし、コロナ禍もあって生活リズムは崩れ、今は腰の痛みと闘う日々・・・(笑)。

欧米では、「中年の危機」として映画やドラマなどで、中年男性が非常識なことを行いがちである事が揶揄されていますが、このニュースを見ながら、「日本でも中年男性の問題が取り上げられるようになったのだな。」と感じました。

ニュース番組内では、男性ホルモンの減少が原因となっており、医療機関でホルモン注射など対処してもらう事で改善する、人とふれ合う事で男性ホルモンは増える、とも紹介されていました。

何でもかんでも医療機関、薬での対処というのは少し気になりますが、夫婦喧嘩や人間関係の悩みの原因に、人格などではなく加齢があり一時的な混乱であると分かれば未来も見えます。

この分野の研究が進むといいですね。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は「産後うつ」について書いていきたいと思います。

実は、今までも何度となく書こうと思っていたのですが、「産後うつ」は人それぞれ症状や対応が異なるうえに、私は医者ではないため、病のような話題を取り上げていいものかどうか気になって躊躇していました。

しかし、孤立化する中年男性と同じく、産後うつ段階の母親は孤立化しがち。加えて、コロナ禍で外出制限がある中、私の店に来て相談することも難しくなってきています。

以前は、店頭で涙を流されるお母さんがいたり、心療内科に通いながら私の元を訪ねて来られたりしたお母さんもおられましたが、今は相談もしにくい状況ですからね。

注目を集める「産後うつ」や「産後クライシス」。だけどその動きには要注意

近年、「産後うつ」や「産後クライシス」といった言葉が流行り、取り上げられる事も多くなりました。

ネット検索すれば、たくさん出てきますが、最近の潮流としては、“育児は母親がするものとする決めつけが悪化を招く”とし、対策としては、家族や地域などへ協力を要請し、育児をサポートするべきだという啓発が聞かれます。

当コラムを読んでいただいている方は、私が父親の育児参加がとっても大事だと、日本人男性は育児を学ばないといけない、と何度も書いていることをご存じでしょう。

しかし、今の社会の傾向には注意が必要です。

現在、家族や地域、社会のサポートが必要だとする流れが加速し、“母親が大変だから保育園整備をする“という状況にあります。結果、子どもから母親を奪う状況が加速しています。

産後うつは、出産によるホルモンバランスの変化による面がありますが、母乳や母性を育むために赤ちゃんの存在は重要でしょう。

もちろん、赤ちゃん誕生後、ひとりの時間が取れない事による疲れ、適応できない悩みもあるので、お母さんの休息時間、自由になる1日を作る事は、社会や家族が頑張らないといけないところだと思います。

「産後うつ」の原因になっているのは赤ちゃんではなく、産後に激変する人間関係?

そこから見えるのは、産後うつだけではなく、夫との関係構築に苦労していたり、人間関係がストレスになっていたりする母親が多い点。

出産をすると、実家に帰ったり、姑さんが手伝いに来たり、保健師さんが来たり、夫が仕事に励んだりするでしょう。これはみんな、善意からの行動だと思います。しかし、それが逆に母親の負担になっている場合もあるんです。

私は10年以上、産後うつのお母さんの相談を聞いていますが、「善意なのが分かるから断れない・・・。結果耐えるのが私・・・。」こういった状況の方を多く見てきました。

赤ちゃんが負担ではなく、産後に急に近寄ってくる人々が辛さの原因になっているワケです。そんな時に、一番側にいて欲しい夫が、家族のために稼がないといけないと、仕事を頑張って残業していては本末転倒ですよね。

では、夫はどうすればいいのでしょうか?

基本は、毎日の会話ですが、その内容に私なりのアドバイスを付け加えると、「将来の話をしましょう」ということ。

私が相談を受けるお母さん方は、多くが妊娠期からの出会いです。ですから、出産前に産後うつの事を学んでもらいますし、家庭環境の事も伺って信頼関係がある状態で話を聞くことが多いです。

そこで感じるのは、産後のお母さん方は、すごく未来の事まで心配しておられるのだなと。

例えば、まだ生まれたばかりなのに、今のアパートでは狭いのではないか、小学校はどこへ?大学に行かせるには今から貯金しないと、など。

産後うつが重くなり、自死されるニュースを見ると心が締め付けられますが、平常時には考えないほどの未来志向が出てきて、現在の悩み以上に先の不安や悩みも積み重なってくる。

これは、考えてみれば当たり前のことかもしれません。

生まれたばかりの赤ちゃんには、過去がないワケですから、分析のしようがありません。未来を見て、将来の可能性を考えなければ、赤ちゃんのペースに合わせた自己犠牲の行動はできないでしょう。

そんな将来の事を心配して夫に話を振ったときに、「そんな先の事は分からない」とか「今が幸せだから大丈夫」などと言っても、妻に寄り添っていることにはなりませんよね。

一緒に将来を考える事が大切。

男性は、年を重ねると武勇伝を語りたがり、何十年も前の学歴に縛られて生きています。過去しか見えていない、考古学や機械の開発など、過去や分析が得意な生きものです。

そのため、現状を分析しようとしたり、楽しかった思い出を語ったりしがちですが、妻は現実的に未来を見ているので、結果的に離婚の判断に繋がるのは、出産によって女性は成長したのに、男性である夫が成長できていないため“将来を考えられない”からなのかもしれませんね。

前編はここまで。後半も近日中に公開予定

さて、長くなってきましたので前編はここまで。

この原稿を書いている最中にも、Yahoo!ニュースで生後3ヶ月の赤ちゃんを死なせてしまったお母さんの話題が入ってきました。

自分の命をかけて赤ちゃんを産んで、頑張って育て、確かに赤ちゃんに手を掛けたことは罪深いことですが、逮捕して反省させても何の意味もないように思います。

こういった事件が世の中から根絶できる日を早く実現したいところです。

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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