[子どもの食のお悩み後編]遊んで食べない、自分で食べない!対応はどうする?【藤原さんの育児学Vol.54】

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

子ども・赤ちゃんの食にまつわるお悩みに答えます!【後編】

みなさん、こんにちは。

病は気から、健康は食事からと、前回から子どもの食について書いています。今回はその後編。

親を悩ませる行動には必ず意味があり、親の方が間違った捉え方をしてしまっているために悪循環に陥っている家庭も見られます。食事の時間がストレスにならないために、今回も相談事例を元に、お話をさせていただきたいと思います。

【前回のコラム】[子どもの食のお悩み前編]離乳食を食べない!好き嫌いが激しい!そんな時の対応は?

【子どもの食事お悩みあるある5】ご飯の時間中に、遊んで食べてくれない

これは1才9ヶ月~2才頃までの家庭からよく寄せられる相談のひとつ。

うどんの麺を丼から出して遊ぶとか、おかずやスプーン・フォークを机で叩いて遊ぶ、中には食べ物を人に投げてきて困るという相談も。この行動の裏には、どんな理由があるのでしょう。

ひとつには、形の変わる物への理解が進んだ事があります。

この月齢の子は、氷や水、砂や粘土など、形が変わる物への興味が高まってきます。食べやすいように調理された食べ物は、どうしても遊びたくなってしまうワケです。

また、ふたつ目には、道具を使う事を覚える段階にあること。

スプーンやフォーク、箸など、道具の先端を自分の指の延長として捉える能力は、この月齢の頃に育ちます。道具から指に伝わる振動を感じて、道具の先端を動かす、箸やハサミを最初に覚えるのは、この月齢が相応しいと私は考えています。

大小様々な大きさ、色もカラフルで硬・軟あるものを道具でさわるのですから、ままごと遊びの延長になっても仕方ないですよね。

三つ目に考えられるのは、運動量が増え、筋力が付いてきて胃や腸が膨らむ領域が減り、消化力も育ってきて、そもそも食事量がそんなに必要でないということ。

1才前半には、大人顔負けに食べていた子どもでも、2才が近づくと急に量が減ってきます。

おにぎり1個で一日元気だったりするので驚きますが、食べる量が減るのも、食事中に遊ぶのも、成長段階を知る行動のひとつ。なので、臨機応変に対応してあげましょう。

この頃には、「お腹を小さくして〜」などと言って見せると、筋力が付いてきているのでお腹を動かせることも。一時的に食事量は減るかもしれませんが、2才を超えて身体も大きくなれば、また食べる量は増えてくるので、食事量を調整してあげてくださいね。

【子どもの食事お悩みあるある6】うちの子は食が細い

時々、悩みではなく、世間話をしていると「うちの子は食が細いから〜」などと、子どもが食べないと決めつけているお母さん・お父さんの話を聞くことがあります。

悩み相談ではないので、私も「そうですか〜」と相づちを打ちますが、内心「現代日本においても栄養失調の子どもが散見されるのは、こういった家庭があるからだな」と感じてしまいます。

胃や腸、脳も心も、すべて鍛えられるものです。

筋肉を育てるように食事も、時には好きなものをいっぱい食べたり、辛いわさびのお寿司を間違って口に入れたり、シュワシュワの炭酸水に驚いたりと、味覚も意識しなければ育ちません。

小さい時に“食が細い”と決めつけてしまうことは、戦後の食糧危機などを経験した人や、途上国などで食事に困った人の方からすると、想像もできない事かもしれません。しかし、今の日本の育児環境の中では、意外に多い問題かと思います。

誤解しないで欲しいのは、私は決して親を責めているのではありません。こういった家庭には、相談相手がいなかったり、情報が偏っていたり、育児に疲れていたりといった、ほかの面での問題がある場合があります。ですので、みなさんの身近にこういう家庭があったら、少し気に掛けていただいたほうがいいかなと。

これは、こども食堂を運営されている方からも、同様に心配されていた話題でした。

【子どもの食事お悩みあるある7】間食が多い

1日3食のご飯時にはあまり食べず、フルーツやパンなどで間食をしてしまうお子様も多いようです。

もちろん、規則正しい生活習慣を身に付ける事は大切ですが、子どもの消化力やお腹の容量を考えると、食事時間を待っていられないという場合もあるでしょう。

10時と15時はおやつの時間と言われる要因かもしれませんが、間食自体を悪と捉えるのではなく、何を食べているか、食べた後の行動はどうしているかを見る事も必要でしょう。

私の受けた印象では、女の子の方が間食が多いように感じますが、これは大人も同じかもしれませんね。

まずは食べたい時に食べる、食べたくない時は無理しない。食事をストレスと感じないようにしていれば、身体の成長とともに、3食の食事と間食をきちんと制御できるようになるでしょう。

【子どもの食事お悩みあるある8】親に甘えて自分で食べない

この行動は、2才8ヶ月〜3才位の子どもで表れてくる「赤ちゃん返り」の行動でしょう。自分の存在を客観的に捉えられるようになると、親と子という関係を理解しようとする行動が始まります。

また、創造力や想像力が働き、違った自分を演じてみたり、感情表現の形を変えたりといった、行動のひとつとしても赤ちゃん返りがあります。過去のイヤイヤ期コラムの時にも書きましたが、記憶周期や記憶の整理も原因と考えられます。

この時の対応としては、赤ちゃん扱いしてあげましょう。

しっかりわがままを受け入れて、食べさせてあげましょう。この段階で甘えさせても、わがままな子には繋がりません。

逆に、甘えを厳しく叱ったり、甘えを受け入れてもらえなかったりすると、乱暴になる、指しゃぶりなどの行動でストレスを表すようになる場合があり、そうなると対応がより難しくなります。

【関連コラム】2歳半からのイヤイヤ中期は行動の大変革期!唐突な赤ちゃん返りの対処方法も紹介

【子どもの食事お悩みあるある9】食事中にテレビやスマホばかり見ている

家族みんなで楽しくテレビを見ながら、というのならいいですが、子どもだけ別行動しているのなら問題ですね。

弊社は北欧インテリアショップも運営していますが、北欧ではキッチンや食卓といった「食」の場こそ一家団らんの要と考えられています。それゆえに家具や照明、雑貨もこの分野の商品にこだわった商品が開発されています。

口を動かすと、アゴや顔の筋肉も動き、頭部の血流は増え、頭が働くようになるので、本来会話をするにはうってつけな時間です。

ただ、現代社会では親の方がテレビやパソコンを見ていて、子どもの話を聞いてくれないといった状態もあるようです。小さい時から、食事の時間を長くとって、1日の出来事を言い合えるような環境を作っていきたいものですね。

食事を通して分かる事も多いからこそ、たまには家族団らんの時間を

さあ、いかがでしたでしょうか?

今回は食事について書いてきましたが、私の個人的な悩みとしては「子どもが残した食事を食べて太ってしまう」、「子どもにおいしいおかずを取られてしまう」、「外食がファミレスや回転寿司になってしまう」などなど、まだいろいろありますよね。

食品廃棄が社会問題になる現代。医療も発達し、好きなものだけ食べても生きていけるのかもしれませんが、食事を通して分かる事、関係を築ける事もたくさんあると思います。

毎日様々なおいしい料理を作ってくれる妻に感謝し、今回のコラムは終わりにしたいと思います。

みなさんのお宅の今日の晩ご飯は何だろう、楽しみです!

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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