[赤ちゃんの絵本読み聞かせ前編]始めるオススメの時期と読み方のコツ【藤原さんの育児学Vol.34】
読み聞かせる「前」に知っておきたい赤ちゃんの成長と本の関係
気がつけばもうすぐ年末。みなさんはいかがお過ごしですか?
今年は、コロナ禍で忘年会が少なくなっていると聞くので、子どもと過ごす夜の時間が例年よりは多くなっているかと思います。子どもに絵本を読んだり、読みたいと買いためていた本を読むのにはいい季節ですよね。
私も、この時期は毎年読書量が増えます。
今読んでいるのは、前鳥取県知事の片山善博さんと糸賀雅児さんの『地方自治と図書館』。図書館友の会・米子の方から「図書館の事を学ぶなら」と推薦していただいた本です。
教育現場にタブレットが導入され、国立図書館の所蔵書籍の電子化がニュースになるなど、本や本を巡る環境が変わってきています。鳥取県は、高校の学校図書館に司書が配置され、県立図書館が賞を受賞するなど図書館熱が熱い地です。
隠岐の海士町では、町中図書館と題して船着き場にも本棚が用意されていると聞きます。地域再生には、図書館が重要であると、知識を得ることから物事は始まると考えられているのですね。
それは、子どもの成長にとっても同じ。子どもも絵本の読み聞かせから多くの事を学ぶ事ができます。
しかし、子どもの発達を知らないと絵本を読む効果や意味が半減してしまいます。
子どもが嫌がったり、ページを進めようと思っても子どもに邪魔されたりして、読み進められず困った経験がみなさんも1度はあるのではないでしょうか?
今回のコラムは、赤ちゃんと絵本の関係についてお話したいと思います。
絵本の「対象年齢」の理由って?
赤ちゃん向けの絵本で日本で特に有名なのは、松谷みよ子さんの「いないいないばあ」でしょうか。
2020年11月のニュースで累計700万部突破と流れていましたね。
また、世界的にみれば邦題「はらぺこあおむし」も大人気の絵本でしょう。
「いないいないばあ」は0才を対象とし、「はらぺこあおむし」は出版社のサイトを見ると4才が対象年齢となっています。
この2冊の本を比べると、赤ちゃんの発達が見えてきます。
まず、「いないいないばあ」は、普通の顔のいないいないを唱えるページがあり、次のページで「ばあ!」顔のページになり、2コマで完結します。
一方、「はらぺこあおむし」は、あおむしが葉っぱや果物などを食べながら成長し、最後にはチョウチョへと変身していくストーリーがあります。
このように絵本の対象年齢の理由のひとつには、子どもが何ページ分を記憶できるか、また、次の展開を予測できるかがポイントになっています。
絵本の読み聞かせは生後8ヶ月頃スタートがオススメ
では、赤ちゃんに絵本を見せてあげるのは、いつ位からがいいのでしょう?
0才を対象と言っても、生後4ヶ月頃まではまだ視力が育ってなく、記憶力も無いのであまり意味がないでしょう。
生後5〜6ヶ月になると、ぼやけた白黒から物が見えてピントを合わせられるようになってくると見られ、アメリカの熱心な育児サイトなどではベビーベッドから見える位置に白黒の輪郭がハッキリした絵を飾る事を推奨している所もあります。
我が家でも、息子が生後6ヶ月頃、白黒柄のファブリックパネルをジ〜ッと見ていた頃がありますが、見えるようになったことを喜んでいたのかも知れません。
この頃は、赤ちゃんの前で人が左右に動くと、目で追う行動が始まり、脳内に記憶を司る部分が育ってきます。
そして生後7ヶ月頃には、遠近感を感じ取り、遠くから人が近寄ったり、離れたりする現象を目で捉えられるようになります。
でも、まだまだ色は無く、記憶も数時間しか持たないと思われます。
生後8ヶ月位になると夜泣きなどが始まるように、記憶を翌日に持ち越す事が始まってきて、色も感じ取り始めるといわれます。
絵本との出会いは、この頃、生後8ヶ月頃がオススメです。
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絵本は最後まで読まなくても「赤ちゃんが興味を示した部分だけ」でもOK
生後9ヶ月頃になれば、後追いや人見知りが始まり、記憶力が育っていきます。
ママを覚え、ママと同じ行動がしたい気持ちが高まってくるでしょう。
絵本を見せながら、ママの声を聞かせてあげる事で、赤ちゃんは言葉を発したり、本をさわりたいという成長意欲が出てくるでしょう。
この段階では、まだ絵を見せる事や、ママの声を聞かせる事が目的なので、絵本を読み聞かせるとまではいきません。
絵本が無くても、おもちゃを見せたり、ママやパパが歌や話しかけで声を聞かせてあげればいいわけですが、ずっと赤ちゃんと一緒に居ると話すネタに困りますよね……。
絵本を読めば、赤ちゃんに聞き取りやすい単語などで構成されているので、便利なわけです。
ちなみにママ、ママと書いていますが、もちろん、パパやおばあちゃんおじいちゃんでも大丈夫です。
と、言うより、赤ちゃんが成長する過程で嫌われたくなければ(笑)、1才頃からはママだけでなく、パパや祖父母のみなさんには積極的に絵本を読んであげて欲しいところです。
読むと言っても、最後まで読む必要はありません、興味を示したページだけ付き合ってあげましょう。
次回は1才以降の読み聞かせについてお話ししたいと思います。
【続編コラムはこちら】[赤ちゃんの絵本読み聞かせ後編]1才~小学校までの読み方のコツ・本の選び方【藤原さんの育児学Vol.35】
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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